平成11年の制定以来、農政の憲法と呼ばれる「」 日本の農業を取り巻く状況は制定当時の想定を超えるレベルにこうした情勢の変化を踏まえ、令和4年9月から検証・見直しが進められ、6年日本の食料・農業・農村は、世界的な気候変動による自然災害の発生、栽培適地の変化、国内人口の減少による国内需要の減少や高齢者の引退による農業従事者の大幅な減少など、これまでに経験したことのない課題に直面しています。現在、社会全体が急速に変化し、変動性・不確実性・複雑性が増す中で、情勢の変化に対応し課題を解決していくためには、これまでの経験や既存の方法では難しくなってきています。5月に改正基本法が国会で可決・成立。翌6月に交付・施行されました。このような状況下で、食料を安定的に供給するために必要な、農業の生産性向上と持続可能性の両立、農村地域社会の維持などが社会課題にもなっています。今回の改正基本法では、生産・加工・流通・小売・消費の各段階の関係者が連携する「食料システム」という概念を新たに規定し、合理的な価格の形成や環境負担低減など、持続可能性を維持するために関係者が一体となって取り組んでいくことを理念として掲げています。食料・農業・農村基本法は「農政の憲法」とも呼ばれている法律です。そこには日本の農政の基本理念や政策の方向性が示されています。(1)食料の安定供給の確保(2)農業の有する多面的機能の発揮(3)農業の持続的な発展(4)その基盤としての農村の振興、などを理念として掲げ、国民生活の安定と向上および国民経済の健全な発展を図ることを目的としています。5年ごとに見直される「食料・農業・農村基本計画」もこの法律の下で策定され、食料自給率などの目標が見直されてきました。昭和36年に制定された農業基本法を発展させる形で、食料・農業・農村基本法が制定されたのは平成11年のことです。以来、四半世紀が経過し、昨今の世界的な食料情勢の変化に伴って、食料安全保障上のリスクの高まりや地球環境問題への対応、海外市場の拡大など、日本の農業を取り巻く情勢は、法律制定時には想定されなかったレベルで変化しています。なぜ改正する必要があったの?そもそも食料・農業・農村基本法って?出典□日本農業新聞改正基本法全文はこちら特集特集改正食料・農業・農村基本法から学ぶ「改正食料・農業・農村基本法」(改正基本法)が成立しました。世界の食料情勢が大きく変化する中、令和6年5月に日本の農政の指針を定める私たちの暮らしやこれからの農業はどう変わるのか一緒に考えていきましょう。昭和36年平成 4 年 5 年 5 年 7 年11年12年12年19年21年22年25年27年30年30年令和 1 年2 年4 年6 年監修:中嶋康博(東京大学 大学院 農学生命科学研究科教授)これからの農業のカタチ
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