JA横浜 Agri横浜 Vol.238
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技術顧問 川西 隆智土や緑とふれあう暮らし緑の情報箱「ジビエ」とは、狩猟で得た野生鳥獣の食肉を意味するフランス語(gibier)でヨーロッパ、特にフランスでは貴族が好む高級食糧として古くから重宝されてきました。今回は、ジビエの特徴や国内での普及状況などを紹介します。ジビエ料理は、動物の尊い生命を奪う代わりに肉として料理に使い、生命に感謝を捧げようという精神に基づいています。主なジビエは、シカ、イノシシ、カモ、キジ、野ウサギ、クマなどがあります。ところで、ジビエ料理にはどんなものがあるかご存じですか? ジビエという言葉が難しければ、牡丹(ぼたん)鍋はご存じでしょうか。一方でジビエの注目度は年々上昇。高タンパク・低脂肪であるジビエは、健康ブームによって消費者からのニーズも高まっています。牡丹鍋は、昔からその地方に生息する野生動物を使った料理で、郷土料理として限られたエリアで食べられていました。しかし、最近では個体数が増加し、有害鳥獣として社会問題化しています。今、国や地方団体により野生鳥獣の捕獲が進められていますが、普及するにはクリアすべき課題があるのも事実です。国産ジビエを取り巻く環境〇高齢化による狩猟者の減少・過疎化、高齢化による耕作放棄地の増加・野生鳥獣の生息域の拡大〇鳥獣対策・捕獲従事者の確保、育成・ICT(情報通信技術)を用いた捕獲技術の高度化・捕獲鳥獣の利用拡大を図る対策推進〇ジビエ料理の材料となる野生鳥獣の増加・捕獲頭数が増えているものの、ジビエの流通量は増えない。〇衛生管理・厚生労働省が策定したガイドラインを遵守して取り組まれているが、各施設の衛生管理レベルにはばらつきがあるため、「食の安全・安心」が確保されない。・外食事業者や消費者にとって、ジビエを取り入れたいが衛生管理に不安が残る食材となっている。〇加熱処理・適切な加熱処理がされていない場合は寄生虫の感染や腸管出血性大腸菌、E型肝炎などの食中毒のリスクがある。・食中毒を防止するためには、調理の際に中心部の温度が75℃以上で1分間、または同等以上の加熱が必要。ジビエ料理とは"ジビエ料理"ってなに?

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