JA横浜 vol.226
11/13

→縞模様さい孔→ジャンボタニシジャンボタニシ他のタニシの仲間在来のタニシ技術顧問山田 良雄ジャンボタニシとは正式名称は「スクミリンゴガイ」。環境省が指定する要注意外来生物の一つです。湛水性巻き貝の一種で、在来種のタニシの仲間です。特徴1.タニシより大きく、丸形「ジャンボタニシ」を知っていますか。食用蛙と同様、人間の都合で海外から持ち込まれましたが、利用価値がなくなって野外に捨てられた、悲しい生き物です。感傷に浸るよりも、イネを作る農家にとって大きな問題になっています。まだ横浜市内に侵入した正確な情報はありません。ジャンボタニシについての情報田植えをした若いイネを好んで食べるため、イネの大敵とされています。この記事を見て、市内で見たことがある方は、ぜひ最寄りのJA支店や営農インストラクター等にご連絡いただけると大変ありがたいです。現在、市内での正確な発見事例はありませんが、数件の目撃情報が寄せられています。境川から西の水田地帯で生息していることが確認されています。相模川や酒匂川流域の水田地帯で被害が拡大し、大きな問題となっています。原産地は南米です。昭和56年ごろに、食用として日本全国500カ所以上の養殖場に導入されました。その後、廃業等により放置され、水田地帯で大きな問題になっています。ジャンボタニシの食性は雑食性ですが、若い茎葉を好んで食べます。このため、田植え後2〜3週間の被害が大きいです。今後、水田以外の池や沼地に生育している希少な植物の食害、生物多様性を損なう危険性が懸念されています。成貝は、5〜8㎝の大きさになり、長い触角を持っています。殻は褐色で、薄いので簡単に手でつぶせます。殻のふた周辺に縞模様があり、殻のくびれ部分(さい孔)が深いです。ウムシとの同時防除可能)2.春〜夏にかけてピンク色の卵を産む4〜9月にかけて数回産卵し、卵塊一つ当たり200〜300の卵が入っています。単純計算では、1個体で年に3000個の卵を産みます。在来のタニシは卵ではなく、小貝を産みます。3.乾燥に強いが寒さに弱い乾燥すると、土の中に潜って休眠します。14℃以下では活動しません。0℃条件で、約1カ月で死滅します。4.寄生虫や毒の危険がある成貝は広東住血吸虫、卵は神経毒の危険性があるため、貝や卵を素手で触れてはいけません。万が一触った場合は、すぐに真水でよく洗ってください。十分加熱すれば、貝の肉をおいしく食べることができます。水中での活動を得意とするため、田植え後3週間程度は1〜4㎝の浅水管理をします。田面を均平化するため、代かきを丁寧に行います。雑草が発生しやすくなるため、除草剤処理後の水管理を守ってください。2.殺虫剤の散布田植え時:パダン粒剤4(i14)の箱施薬(イネミズゾ田植え後:スクミンベイト3(iUN)、スクミノン(i8X)、スクミンハンター(i14)を湛水条件で散布します。3.水口での捕獲等小貝は用水で拡散しますので、水口に1㎝程度の網目のネットを張り、小貝を捕獲し処分します。4〜9月頃まで、水面上の茎葉や畦畔等に産卵が続きます。卵塊を見つけたら、水中に落とします。イネ栽培での対策1.浅水管理土や緑とふれあう暮らし緑の情報箱イネの大敵 ジャンボタニシ

元のページ  ../index.html#11

このブックを見る