Agri横浜 vol.214
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んて冬の訪れを感じ始めた11月。背中に〝虎〟の文字が記された半はん纏姿の生駒さんがゴンドラに乗って植木の剪せ定て作業をしていた。ここは今年で102年目を迎えた生駒植木。設立した曽祖父・寅治さんの名前が由来になった屋号松虎ここまで歩んできた。生駒家は元々は野菜農家で、さかのぼるとこの地で300年ほどの歴史がある。祖父までは野菜と兼業だったが、開発が進み植木の需要が高まったことを機に、父の代で一本化。15ヘクタールの植木圃ほ場じうで生産するほどに規模を拡大した。 生駒さんは大学卒業後に都内の造園会社で5年ほどの修業期間を経て就農。当時は景気が悪く、会社の先行きに不安を感じながら、生き残りをかけた挑戦を始めた。まず、造園や土木など緑化産業に関わる全ての仕事を請け負えるようを誇りに、に設備を整えた。マンションや公共施設の建設に携わる大手の建設会社との取引獲得を狙った。「今まで通りの経営を望んだ父親とはぶつかった」と振り返る生駒さん。ただ、結果を残して認めさせようと、飛び込みで売り込んだ。門前払いも多かったが、価格の安さが担当者の目に留まった。「当時は生産から土木工事までを一社で完結できる会社が少なく、仲介が入らないので値段を抑えられ、他社との差別化ができた」と話す。生駒植木の従業員はパート職員を含めて40人。生駒さんは8年前に社長に就任した。植木は流行の移り変わりが激しく、最近はアカマツやアオダモ、常緑ヤマボウシが人気。取引先の要望に応えられるよう、多品種をそろえるために東北から九州まで仕入れに行く。従来からの庭木だけでなく緑化樹を含め300品ゅんょ「」いん 先行き不安の中で就農生駒順じさん(53) 戸塚区小雀町慣習の中に新風吹き込む新庁舎の緑化にも一役不要な枝を剪定して松の樹形を整える生駒植木株式会社は、設立から1世紀の歴史がある。生駒さんは父から継いだ会社を、これまでの慣習に捉われずに発展させてきた。個人邸の庭造り、マンションや公共施設の緑化事業に携わり、地域に貢献。小学生向けに緑育も始めた。最近ではJA共済のCMに出演したことでも知られる。現在、JAの植木部長を務め、横浜産植木の普及にも力を注ぐ。1世紀の歴史が信頼の証し事業拡大で幅広い要望に応える

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